ノースウェスタン・ナショナル・ライフ・ビル
はじめに
ノースウェスタン・ナショナル・ライフ・ビルは、長年にわたって何度も入居者の名前が変わっている。 当初はノースウェスタン・ナショナル・ライフ、後にレリアスター・ビルディングと呼ばれていたが、現在はヴォヤ・フィナンシャル20ワシントンとして知られている。 ヴォヤ・ファイナンシャルはニューヨークに本社を置く大手金融サービス会社である。
山崎実が設計し、1965年にオープンしたオフィスビルである。 ノースウェスタン・ナショナル・ライフ・インシュアランス・カンパニーの本社がローリング・パーク近くにあったが、従業員の数に対して手狭になったため、その代わりとして建設された。 新社屋がオープンした当時、本社には475人の従業員がいたが、1978年には850人に増え、さらに大きなビルが必要になった。
山崎がこの建物を設計したのは、彼の最も有名なプロジェクトであるニューヨークの ワールド・トレード・センター(1962-1976)の1年前であり、現在もヴォヤ・フィナンシャルがオフィスビルとして使用している。
所在地
この建物は、米国 ミネソタ州ミネアポリスのゲートウェイ地区を活性化するための大規模な都市再開発プロジェクトの建築的ハイライトとして、山崎実が設計した。
1950年代後半から1960年代前半にかけて、市当局は、買い手が新築で開発することを条件に、この地域の古い不動産を低価格で売却することを提案した。 市街地の3分の1近くが取り壊され、古い建物はアパートやオフィス、近代的な小売店舗に建て替えられる予定だ。
コンセプト
山崎実氏のデザインは、「オフィスビルにふさわしく、記念碑的で威厳があり、かつエレガント」であることを意図しているという。
建築家は、佐々木・ウォーカー&アソシエイツのランドスケープ・アーキテクトとともに、リフレクティング・プールを設置した。
山崎ビルはその中心的存在として計画された。 そのため、ヘネピン・アベニューとニコレット・アベニューの角度のある交差点近くの一等地に設立され、ニコレット沿いの市の歴史的な商業回廊の視覚的な終点となっている。 このような状況を踏まえ、山崎はこの地に記念碑的で刺激的な建造物を配置したいと考えた。 彼は、高い塔や高床式の建物など、さまざまなバリエーションを検討したが、景観のよい公園内に建つ近代化されたローマ神殿を選んだ。 山崎は建物をニコレット通りに対して垂直にし、通りの軸線と眺望が目立つポルティコを横切って遠くのミシシッピ川に向かって広がるようにした。
山崎が自称するヒューマニズムのデザインは、利用者の美的体験と感覚的体験に焦点を当て、世界の歴史的建築から吸収した原則を通じて「静けさ、驚き、喜び」を追求した。
スペース
1965年春にオープンした20,440平方メートルの建物は、エレガントな素材、入念なエンジニアリング、そしてインスピレーションに満ちた革新性が融合したものだった。 建設当時は6階建てで、500人近い従業員を含む会社の全業務を収容する予定だった。 この目的を果たすためには、内装は機能的で美的にも美しいものでなければならなかった。 白い大理石で覆われたホワイエは、驚くほど豪華だ。 広々としたオフィス、チーク材の羽目板が張られた役員会議室、大きなアーチ型の窓があるエグゼクティブフロアのカフェテリアが、感覚的なユーザー体験を形成している。
この建物は地下と地下室を業務記録の保管場所として使っており、それらは透明なフィルムリールに保存されていた。
外部説明
建物は63本の細長いコンクリート柱で骨組みを組み、石英の被覆が施されている。
山崎とランドスケープアーキテクトは、建物を台座の上に自立した彫刻のようなフォルムとして配置し、四方から見えるようにした。 南西に長く伸びた立面は、ワシントン・アベニューから奥まった位置にあり、池が間口の広さを映し出している。 北西のヘネピン通りに向かって、山崎は正門、ポーチ、正式な歩行者用エントランスを配置した。 高さ26mのガントリーは、ニコレット・モールのショッピング軸の視覚的な終点として機能している。
自然のコントラストとして、日本人アーティストの流政之氏が、石や彫刻をアシンメトリーに配置した緩やかなグラデーションの芝生をデザインした。 ハリー・ベルトイアの彫刻をアクセントに、この親密で精巧にデザインされた空間は、一段高くなったポルティコと透明なロビーに緑の前景を作り出している。
構造
建物の63本のプレキャストコンクリートの柱は構造的なもので、その耐荷重は鉄筋コンクリートのサービスコアと11本の内部サポートによって支えられている。
高さ25メートルの細長い柱が長方形の建物を貫き、コーニス型の屋根板と出会って、エレガントなゴシック様式のアーチへと広がっている。 その間に、建物の側面に沿って、山崎はアンティークグリーンの大理石の薄い板を積み重ねた。 背後のダークグレーに着色されたガラスと組み合わされると、この大理石のスラブは、ビルの6階部分が大胆な列柱の後ろに消えていくように見える。 山崎はミネソタの厳しい気候から建物を守るため、窓の開口部を最小限にした。
ノースウェスタン・ナショナル・ライフのプロジェクトは、当時のモダン建築における山崎の独特なポジションを反映している。 彼の作品は、モダンな素材や戦後建築の機能的配慮と、アーチや列柱、力強いシルエットといった歴史的要素を融合させている。
材料
山崎氏は、ニュー・フォルマリズムのヒューマニズムの原則に導かれ、豪華な素材と歴史的要素やプログラムへの関心を融合させ、その壁の中で働く人々にアピールするような企業のオフィスビルを作り上げた。
チーク材のパネルに白い大理石とステンドグラスを組み合わせた内装。 エグゼクティブ・ボードルームは6階にあり、深紅のカーペットが敷かれ、チーク材が敷き詰められ、黒檀の扉が取り付けられていた。
しかし、6階の広さを楽しんだのは重役たちだけではない。山崎は社員食堂もそのレベルに引き上げた。 秘書、アクチュアリー、アンダーライターたちは、デンマークデザインの家具に囲まれ、アーチ型の窓の下で昼食をとった。
外壁の柱廊は白い石英で覆われたコンクリート製。 エントランスでは、ハリー・ベルトイアの彫刻「陽のあたるわら」が、何千本もの真鍮でコーティングされた鉄の棒で作られ、訪問者を出迎えてくれる。
バーモント産大理石のアンティーク・グリーンのパネルが、狭い縦長の窓の間を覆っている。