津山文化センター
はじめに
津山文化センターは、建築家・川島孝治の設計による大規模な多目的ホールである。 1965年12月25日に完成し、1966年1月11日に落成式が行われた。
1967年にはBCS賞を受賞し、2005年にはドコモ・ジャパンの「日本のモダン・ムーブメント建築選」に選定された。
2018年4月1日から2020年3月31日まで、大規模な耐震改修工事が行われた。 建物は2020年4月1日にリニューアルオープンした。
所在地
津山文化センターは、津山市の中心部、岡山県津山市三箇68、古城跡のある覚王山公園の北西に建設された。 街は吉井川沿いに広がっている。
コンセプト
建築家のアイデアは、新しい建物を古い城の城壁の中に収容し、街のすべての住民に強く認識されるようにすることだった。
外観は、日本の伝統的な神社仏閣から着想を得た逆ピラミッド型で、古代建築への郷愁を表現している。 深い張り出しが壁とのコントラストを和らげ、外からは室内の広さを感じさせ、室内ではその逆となる。 軒下のコーベルは、力強さを取り戻すと同時に、微妙な陰影と光の投影を生み出し、建物に温かみを加え、近代建築と日本の伝統に基づく地方建築との相互作用への配慮を反映している。
スペース
旧城の石造りの遺構とは対照的に、建物は本体と展示スペースのための棟で構成されている。
主翼
この部分には、ホワイエやラウンジ、舞台やサービスルームを備えた講堂、会議室、結婚式場、食堂、事務室、機械室などがある。
ホワイエ
ホワイエは3階の天井まで吹き抜けになっており、各階のむき出しの梁が外壁のコルベルと調和している。 この上方からの眺めは、力強さを感じさせる。
ホワイエは、スペースの分配器であり、主にオーディトリアムなど、ホワイエの周囲で行われるさまざまな機能の分岐点でもある。
オーディトリアム
収容人数が1000人を超え、このホールの主な用途である会議や演劇を考慮し、建築家は音の明瞭さに特別な注意を払った。 この前提は、残響時間1.2秒を達成することで守られた。 空間を狭め、平行な壁と壁の間に面がない六角形の平面に安定性を与える側壁の構造によって実現した。 この配置により、座席数も増える。
将来の拡張を念頭に置いて、舞台装置も照明も可能な限り実用的な方法で建設された。 多目的スペースの無個性化を避けるため、部屋の中央に直径3.3mの大きなアクリル製の照明器具を配置し、間接照明を避けた。
文化センターのその他のスペースは、講堂とは別に可動式パーティションで区切られている。
本体に併設された展示スペースは、多方面で活躍する日本人アーティスト、粟津潔がデザインした手彫りのレリーフを外壁に取り入れた。
駐車場は90台収容可能。
構造と素材
1965年に竣工したこの建物は、日本古来の神社仏閣に見られるコンクリートと鉄骨の3階建て構造「東講」を特徴としている。
城跡の石垣に対応するような逆台形の外観をしている。 仏教建築で使われる支持部材の一種を形式的に組み込んだ構造部材が、連続する大きな床を支えている。 建物は当時の最先端技術であったプレキャストコンクリートで建設された。 城の石垣を逆手に取ったブルータリズムの建物は、日本屈指のグラフィックデザイナーや構造エンジニアの協力を得て実現した。
東洋の伝統的な木造建築の大屋根を支え、城跡の歴史的遺構を意識した構造要素である 。
オーディトリアム
建物中央の大ホールの左右の壁は4つのHPケーシングで形成され、その上部は内側に傾斜しているため、部屋の音響効果が向上している。